みかん売り

鹿児島の霧島神宮近くの

仮設有料駐車場付近での事。

 

道端で

みかん 300円

バナナ 300円

と、書いた札の横で

 

小学生、おそらく3〜4年生の男の子が

「みかん、いかがですか?

バナナ、いかがですか?」と

1人で売っていた。

 

丸顔でスポーツ刈りの

笑顔がとても可愛い子。

 

また

「あけましておめでとうございます。

皆様、ご苦労様でございます。」と言っていた。

 

昭和の初期の時代ならあり得る風景だけれども

令和のこの時代

こんな子がいるんだなぁと感心してしまった。

 

しかし

彼の売るみかんもバナナも売れない様で

皆、彼の横を通り過ぎる。

 

私も一度通り過ぎて参拝を済ませ

帰り道に彼と会った。

 

私の顔を見上げて

「お疲れ様でございます。

みかん、いかがですか?」

 

元旦、普通の子であれば

暖かい部屋で親戚のおじさん、おばさんに

お年玉をもらって

ゲームでもしている時間だろうに、

 

本当にこの子は健気だなぁと

涙が出てきました。

 

親はどういうつもりなのだろう。

 

私は「みかん買うね。」と言って

5個入りのみかんを買い

比較的大きい金額のお札を渡して

 

「お釣りはお年玉であげるから

自分のポケットに入れておくのよ。」と言ったわけです。

 

とても嬉しそうに

溢れる様な笑顔を浮かべ

「ありがとうございます!」

 

その後私は車に乗り

みっちゃんに電話をして

泣きながら

みかん売りの少年の話をしたわけですね。

 

暫くするとまた

彼女から電話がかかってきた。

 

「チコちゃん、ネットで調べたけど

その子、地元ではすごく有名みたいよ。

観光客相手に

マッチ売りの少女を演出して

安いみかんとバナナを売って

相当稼いでいるらしいわよ。

お金持ちよ(笑。

だから、チコちゃんは泣く必要はないし

お金をあげすぎ!本当に人がいいんだから。」

 

まぢかよ‥。

 

相当稼いでいるお金持ちなのか‥。

 

だから地元の参拝客の人達が

彼を無視して通り過ぎていたわけですなぁ。

 

しかしですねぇ

その少年に罪はないと思うんです。

 

親に言われて始めた商売でしょうから。

 

親御さんがのっぴきならない事情があるのであれば

それはそれで仕方がないけれども

子供にみかんを売らせて

いい暮らしをしていたとすれば

ちょっと許せないなぁ。

 

みかんを売りながら

駐車場整備の方々のお手伝いして

一緒に車を誘導していた彼の姿を思い出して

複雑な気持ちがした次第です。